認知獲得活動を進める上でPR会社に広報・PR業務を委託するのも1つの手段です。とはいえ、初めてPR会社に依頼する場合、どんなふうに進めればいいのか?費用・相場はどれくらいなのか?が気になるもの。
本記事では、PR会社にお願いできることや費用などを解説し、自社にあった1社を見つけるヒントをご提供します。
PR会社とは?
PR会社は企業や組織・団体の「パブリックリレーションズ(Public Relations)」をサポートする会社です。パブリックリレーションズに対して、その専門性を磨き続けている集団です。PR会社にお願いすることはその強みを生かして活動してもらうことの他にもあります。
様々な顧客を抱えるPR会社のプロ知見をいかし、目的に対して最短距離で進めることができます。世の中の変化に伴い、ステークホルダーとの良好な関係性をたもつために対応しなければいけないことは日々変化していきます。メディアとのつながりや、各施策・活動をする上で、PR会社のプロの知見をいかしてもらうことは大きなメリットとなります。
専任広報がいない企業や、PR活動の幅を広げたいけど人数が足りないと感じている企業にはPR会社がおすすめです。PR会社と連携することで専属チームをたて、活動を進めることができます。
PR会社に依頼する際の費用
PR会社によって費用・料金の算出方法は様々ですが、PR会社のホームページをみても残念ながら活動にあたっての費用・料金・相場を確認することできません(株式会社oneのように公開している企業も一部あり)。PR会社の場合”PR・広報業務のアウトソージング”となります。PR活動そのものに報酬が支払われますので、その費用がかかってくると考えましょう。
大手の総合PR会社に依頼した場合の相場として、月平均100万円前後かかってきます。この金額を捻出することが難しいスタートアップや中小企業などはフリーランスのPRパーソンに依頼することを検討してみても良いでしょう。
PR会社の費用・料金・相場は「リテナー費用・料金」「施策ごと費用・料金」「成果報酬」の3つに分けられますので、それぞれご紹介していきます。
PR会社のリテナー・月額費用・料金
リテナー費用・料金というのは、毎月固定でかかってくる金額です。コンサルティングのみのパターンもありますが、例えばパブリシティ(メディアを介した情報発信)であれば、戦略策定からプレスリリース作成、メディアコンタクトといった業務を丸っとお願いする場合などがこれにあたります。
相場は、月額50万円~100万円で、期間は年間での契約が一般的です。PR・広報活動は短期ではなく中長期で成果を作りにいく活動ということもあり、年件契約が一つの基準となっていますが、期間を短くすることも可能です。短期を希望する場合はPR会社に相談してみてください。
PR会社によって支援内容が異なりますが、パブリシティ(メディアとの折衝)に強みを持つ企業のリテナー・月額費用の中には下記が含まれます(リテナー金額によって精査)。
PR会社の施策ごとの費用・相場
記者会見などのイベントや、マニュアル・ファクトブックなどの作り物、メディアトレーニングをはじめとしたトレーニングなど、PR会社が行う各施策ごとにかかってくる費用・料金です。PR会社からの提案をもとに、年間計画を立てた上で、どのタイミングに何を実施するべきかなど厳選していきます。
相場は、タレントを使った記者会見ですと500万前後、セミナーなら200万前後と施策の内容に合わせて大小変わってきます。
例えば下記のような金額になります。
PR会社の成果報酬費用・料金
パブリシティ(メディアを介した情報発信)提案時に見かけることが多いのが成果報酬です。どうしてもこの番組に新聞で紹介してもらいたいと具体的に決まっている場合は成果報酬を選ぶことも1つの選択肢です。
相場として、TV番組や新聞での紹介件数に応じて50万円~200万円 / 1回の金額を設定しているPR会社が多いようです。
PR会社に依頼する業務・お願いできること
PR会社はパブリックリレーションズに対して、その専門性を磨き続けている集団です。PR会社ごとの強みを理解し、活動してもらいましょう。
ただし、PR会社に丸ごとお願いをしてしまうと、メディアとの接点はもちろん、プレスリリースの書き方、メディアリストの作り方などの知見・ノウハウの蓄積が全くできません。全てを依頼のするのではなく、ゆくゆくは自社で全て対応する前提で伴走してその知見を吸収していく必要があります。
戦略・計画をお願いする
- PR戦略や年間計画の立案
- PR・広報部門の立上げ
- OJTによる社内人材の教育・指導
- メディアトレーニング
自社でPR・広報戦略の策定を検討する際は下記の記事を参考にしてみてください。 ・参考記事:PR・広報戦略をはじめて作成するには? ・参考記事:PR・広報の年間計画をどうやって立てる?
コネクションをいかしてもらう
- メディアプロモーションの実施(メディア露出の獲得、取材立ち会い)
- 地方メディアの開拓
- 自治体の開拓
プロとしての知見を使って活動してもらう
- プレスリリースの作成
- 記者会見やイベントの企画・運営
- ファクトブックの制作
自社で各活動を検討する際は下記の記事を参考にしてみてください。 ・参考記事:初めてのプレスリリース:書き方の基本・コツまとめ ・参考記事:初めてのプレスリリース:配信方法は?
工数として活動してもらう
- メディア露出の把握(クリッピング収集)
- 報道動向の調査・共有
- イベント運営のサポート
PR会社の選び方
国内には100を超えるPR会社が存在します。広くステークホルダー・手段を扱う会社から、その手段の1つにフォーカスをしたPR会社まで、PR会社といってもその特徴は千差万別。自社にあった1社を見つけるにはどうすればいいでしょうか?
PR会社をリストアップする
PR会社と一口に言っても、全ての機能を備えたPR会社や、メディアリレーションズに特化したPR会社、危機管理に特化したPR会社、美容・コスメを専門的に扱うPR会社など、その種類は多岐にわたります。PR会社ごとに得意分野に違いがあるため、依頼する際にはその違いを正しく理解しなければ、目的にあったPR会社に出会うことはできません。
専門PR会社や、そのほかの総合PR会社についての情報は、日本パブリックリレーションズ協会のサイトから簡単に検索ができます。業態や業務・業種など細かな検索設定ができますので、ぜひ参考にしてみてください。
問い合わせ・顔合わせ
PR会社のサイトは充実してないことが多く、実際に顔を合わせた上で話を聞いてみないとわからないことも多くあります。また、比較的人材の入れ替わりが激しいため、経験がある担当かどうかを見極めることも大切です。
企業によって得意分野が異なるため、5社以上のPR会社と面談することをお勧めします。
オリエンテーション
PR会社の選定には、複数社からコンペ形式で提案してもらうことが一般的です。自社の事業内容やPRの目標、PR会社に担ってもらいたい役割や求める成果、予算についてオリエンテーションで共有をします。
PR会社はこのオリエンの内容をもとに、御社にあったPR戦略・計画を立案、提案してくれます。
PR会社からの提案
PR会社各社からのPR戦略・計画の提案です。複数社からの提案となりますので、日程はできるただけ同じ時期に設定してあげると親切です。また、オリエンテーションから提案までは3週間〜1ヶ月ほど余裕を持っておくと、市場調査や報道分析を盛り込んだ提案をしてもらうことができます。短ければ短いほど提案の質が担保されにくいと思いましょう。
PR会社の決定
PR会社からの提案内容をもとにPR会社を決定します。提案内容はもちろんですが、その提案が本当に実現できるものなのかどうなのかの見極めが大切です。契約の際は合わせて下記をチェックしてみてください。
- 担当者は誰か?(提案時の担当はその後も関わってくれるのか?)
- 提案の目標に対してコミットしてくれるのか?
- 提案内容は抽象度が高すぎないか?具体的にイメージできるか?
- リテナー活動として具体的に何をするのか明確になっているか?
- 状況に応じて柔軟に対応してくれるか?
- 料金が加算される可能性はないか?(追加費用を請求されるパターンがあるため)
- 効果が出ない場合の対応としてどんなことを考えているか?
PRのプロであるPR会社ですが、魔法の杖ではありません。特にパブリシティについてはその不確実性の高さを理解しておく必要があります。ステークホルダーとの良好な関係性を構築するためには一歩一歩時間をかけて地道に活動を蓄積していく必要があることを理解しておきましょう。