企業・団体の情報をマスコミ関係者に訴求するために、メディアを訪問して説明する活動『メディアキャラバン』。情報提供だけでなく、それぞれのメディアが何に注目しているのか、今後どんな方向性で企画を検討してるのかなどをヒアリングできる機会でもあります。
メディアリレーションズで欠かせないメディアキャラバンについて、その方法とコツを解説していこうと思います。
メディア(プレス)キャラバンとは?
『メディア(プレス)キャラバン』は、企業・団体の情報をマスコミ関係者に訴求するために、直接メディアを訪問し、最新の情報・プレスキット・ニュースレター、実物の商品を交えながら説明をする方法です。
同じ媒体社で複数メディアを抱えていることが多いため、新商品のスタート・キャンペーンタイミングなどでまとめて情報を伝えたいときに、地方企業であれば東京出張の際に効率的なアプローチをするために、PR会社であればクライアントと同行してより詳細を訴求するために、メディアキャラバンを行うことがあります。
記事化・企画化をゴールに、そこに繋がる糸口を探す活動ですが、自社と親和性のあるメディアとの関係構築や、今後想定してる活動についての第三者視点からのアドバイスを得る機会にもなります。これらをふまえて、一方的に自社の情報を提供するだけでなく、両者にとって有益な場を作ることを意識する必要があります。
メディアキャラバンの進め方
プレスリリースを配信する際の流れと前段は同じです。自社の伝えたいことを軸に考えるパターンと、掲載したいメディアを軸に考えるパターン、この2つからキャラバンの方法を考えていきましょう。
自社の情報を軸に考えるパターン
新商品・サービスの情報、訴求していきたいテーマとの関係性など、自社が伝えたい内容を軸にする場合、どのような企画を持っていくかをまず考えます。その上でその企画であればどんなメディアが取り上げてくれるのか、企画に合致しそうなメディアをリストアップしていきます。
メディアのリストアップができれば、編集部・担当者に対してアポイントをとり、メディアキャラバンをおこないます。どのメディアかだけでなく、どのコーナーの担当者、どの企画を作った方、などの”誰(名前がわかっていると尚良い)”とアポイントを取るべきなのかも事前に調べた上で電話ができると理想です。メディアリストの作り方についてはこちらの記事や、下記のテーマ別メディア一覧を参考にしてみてください。
掲載したいメディアを軸に考えるパターン
影響力のあるビジネスメディアや、主婦にリーチしやすいお昼の情報番組など、取り上げてほしいメディアが決まっている場合はこちらのパターンです。事前にメディアの特性やコーナー、喫緊の掲載内容を下調べし、興味を持ってもらえそうな企画を各々に向けて作成して持参します。
アプローチメディアと企画が固まれば、「自社の情報を軸に考えるパターン」同様メディアとアポイントをとり、メディアキャラバンを進めていきます。
メディアキャラバンに持参するもの
メディアと直接話ができる機会が持てるのであれば、よりお互いにとって有益な時間にしたいものです。”プレスリリースを持参して、自社の情報を一方的に伝えて終わり”ではなく、複数の切り口から提案すると良いでしょう。例えば下記の資料を持参するのも効果的です。
ニュースレター
ニュースレターは、自社の最新情報や、業界トレンド、知見の共有を共有するツールです。メディア向けだけでなく、既存・新規のお客様や取引先各社へのツールとして活用されています。
ファクトブックでまとめた内容を切り分けて活用したり、業界の最新動向の要約などをすることでハードル低くスタートすることが可能です。
ファクトブック
ファクトブックとは、自社や自社を取り巻く環境のファクト(事実)のデーターベース。団体やサービスについての事実(ファクト)を、客観的に整理した情報冊子です。
自社の情報・業界の情報・自社に関わる社会トレンドなどをまとめたもので、アナリストや機関投資家、報道機関向けに、企業の経営や財務状況、業界におけるポジショニングなどを年1回発行するアニュアルレポートや、社史や行動指針、従業員プロフィールをまとめた社内向けのもの、世の中のトレンドや団体・サービスの裏側・開発秘話などをまとめた報道資料として活用するメディア向けのものなど、ステークホルダーごとに切り分けて活用することが可能です。
プロモート資料
”掲載したいメディアを軸に考えるパターン”でご紹介したように取り上げて欲しいメディアに対して、企画提案をするための資料です。
メディアの研究を行い、特徴・過去の傾向にあわせ、自社の情報をカスタマイズして提供します。紹介がゴールではありませんので、自社のどのような情報をどう表現したいのかを明確にした上で作成しましょう。
メディアとのアポイントを取るには
過去に取材実績がある場合、それを元にリストを作ることも可能ですが、折衝実績のないメディアとの交渉のためには連絡先を手に入れ、連絡をとる必要があります。連絡先を取得する方法が複数あるので、下記で紹介していきます。
まとまっているリストを活用する
前述した日本パブリックリレーションズ協会発行の「広報・マスコミハンドブック」や、宣伝会議発行「マスコミ電話帳」にはメディアの連絡先が網羅的に掲載されています。手っ取り早く情報を取得するには、これらを活用するのが良いでしょう。
ただし、掲載されている情報は企業の代表電話であることが少なくありません。各媒体にアプローチするためには代表電話から連絡先を確認する必要があります。個別でメディアに折衝する場合は必ず必要な作業です。この労力を惜しまずに連絡してみてください。
メディアのサイトから探す
個別でメディアのサイトを調べるのも1つの方法です。
FAXや電話での情報募集ではなく、オンライン上での情報募集を進めるメディアも増加しています。情報収集を目的としたフォームや、プレスリリース受け入れのメールアドレスを掲載している企業もありますし、見つからない場合はお問い合わせフォームから直接連絡してみるのも良いでしょう。例えば下記メディアはこの方法で確認することができます。
<情報収集を目的としたフォーム・アドレス掲載メディアの例>
・WBS(ワールドビジネスサテライト)の「トレンドたまご」コーナー情報募集
・東京新聞:ニュースあなた発 取材リクエスト
・IT media:リリース受付・取材依頼について
連絡先がわかれば、あとはメディアとの打ち合わせを設定。代表電話からかける場合は、どのメディアのどんなコーナー(役割)の担当者に会いたいかを伝え、繋いでもらいましょう。
新聞であれば記名記事を、TVであればインタビューしているディレクターの名前を元に、自社の情報に関心を持ってもらえそうな担当者を調べた上でお声がけするのも効果的です。