【3分でわかる】ファクトブックとは?事例を交えて紹介

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ファクトブックとは

団体やサービスについての事実(ファクト)を、客観的に整理した情報冊子ファクトブック。

PR戦略とPRの戦術をつなぐ需要な役割を担い、ステークホルダーと自社で共通の理解を持つために欠かすことのできないツールです。今回はファクトブックとはどんなものなのか?事例も交えて紹介します。

目次

ファクトブックとは?

ファクトブック 事例
出典:radiko「防災ラジコファクトブック」

ファクトブックとは、自社や自社を取り巻く環境のファクト(事実)のデーターベース。団体やサービスについての事実(ファクト)を、客観的に整理した情報冊子です。

ファクトを集約・整理、これを元に社内外に発信することで、認識のずれを最小化し、ステークホルダーの自社に対しての理解向上を目指すことができます。業界関係者など専門知識のない方々でもその対象のことを理解できるように体型的にまとめたファクトは、メディアプロモートの素材として制作されることもありますが、ここで集約した情報はオウンドメディアやセミナーなど社外向けの発信や、採用や社内メンバーの共通認識を持つための社内報など様々なコンテンツに流用できます。

例えば、アナリストや機関投資家、報道機関向けに、企業の経営や財務状況、業界におけるポジショニングなどを年1回発行するアニュアルレポートや、社史や行動指針、従業員プロフィールをまとめた社内向けのもの、世の中のトレンドや団体・サービスの裏側・開発秘話などをまとめた報道資料として活用するメディア向けのものなど、ステークホルダーごとに切り分けて活用することが可能です。

ファクトブックの活用方法

ファクトブック

情報を集約したらステークホルダーごとに、テーマ・トピックごとに活用していきましょう。

ステークホルダーごとに最適化した使い方であれば、アナリストや機関投資家、報道機関向けに、企業の経営や財務状況、業界におけるポジショニングなどを年1回発行するIRブックとしての活用。社史や行動指針、従業員プロフィールをまとめた採用・社内向けのもの、世の中のトレンドや団体・サービスの裏側・開発秘話などをまとめた報道資料として活用するメディア向けのものなど、ステークホルダーごとに切り分けて活用することが可能です。

テーマやトピックは、マーケティングツールとして活用することが可能です。
例えば『食料問題』や『人材定着』のように自社が解決に取り組む課題を抽出してセミナーを開催してみたり、『◯◯の解決事例』や『◯◯に効果的なサービス』などのトピックを引っ張り出しオウンドメディアやSNSで発信することも効果的です。

ファクトブックに集約する情報

自社についての情報

まずは自社の特徴・強みを理解し、社会と合意形成するためのストーリー作り、そのファクトを見つけます。自社にどんな要素があるのかを分解して把握しておくことが大切です。自社を知るには「企業を知る」「事業を知る」「組織を知る」こと、そしてそれぞれの「基本と現状」を知ることを進めていきましょう。

企業を知る

・MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)・理念を理解する
・MVVをどう実現していくのかを知る
・どんなテーマで戦っていくのかを知る
・誕生の背景を知る
・社歴を知る
・世の中の評価・認知を知る

自社を知るための一丁目一番地は、企業として何を軸に、どこに向かおうとしているのか、それをどうやって実現していくのかを理解すること。特にひとり広報は経営者と近くで行動することが多いため、この前提のすり合わせが欠かせません。

企業としての存在意義であるMVV・理念を把握し、それに対して過去どのようなことを進めてきたのか、未来はどんなことを想定しているのか、時間軸で企業について理解を深めましょう。

合わせて、どのような市場・テーマで戦っていくかも把握をしておく必要があります。「◯◯といえば株式会社△△」「◯◯の第一人者」の”◯◯”は何でしょうか?”◯◯”と言われるために自社には何があるでしょうか?

事業を知る

・サービスの想い(ミッション・ビジョン・バリュー)を知る
・ビジネスモデル(事業戦略・収益構造)を知る
・事業を進める上での課題を知る
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・差別化のポイント・秀でた技術を知る
・顧客のインサイトを知る
・スポークスパーソンを知る
・事例を知る

企業の全体像を把握することで、事業がなぜ生まれたのかの背景、事業で実現しようとしていることがスムーズに把握でき、事業理解が加速度的に進みます。

事業成長のスピードを上げるために、事業全体の理解はもちろん事業を進める上での課題についても把握しましょう。PRとして課題のどこに注力して共同で解決していくのか、その方法としてどのようなステークホルダーに向けた活動を進めていくのかを検討していきます。

組織を知る

・組織構造(組織図、組織の作り方)を知る
・社内制度・取り組みを知る
・オフィスを知る
・採用を知る
・従業員を知る
・カルチャーを知る

事業と組織は両輪。事業成長する要素があっても、組織が立ち行かなければその実現は困難です。組織の現状を把握した上で社内外の発信を進めることで、採用候補者や従業員などのステークホルダーを巻き込むきっかけとなります。

エンプロイーリレーションズによって、企業にとって重要なステークホルダーである従業員に対して、企業理念・ビジョン、経営方針など、組織の価値観に対する理解の醸成を進めることも可能です。また、採用候補者に対して、自社の組織・カルチャーについて積極的に情報発信することで、認知獲得による候補者を集め”だけ”ではなく、自社の価値観と候補者の価値観(前提)の乖離をなくし適切な前提知識を持ってもらった状態、期待値のズレが少ない状態で面談を進めることも可能です。

業界についての情報

自社の立ち位置を社内外に理解してもらうために、業界の動向、競合の状況把握は欠かせません。同じ市場を盛り上げていく仲間として、連携した情報発信を行ったり、業界団体や第三者委員会を作り共同での活動を進めていく可能性もあります。業界知識を蓄積することで、業界に強いメディアとの連携を深めることも可能になります。

業界全体を知る

・業界地図を知る
・各社の特徴を知る
・業界のトレンドを知る
・業界の有識者を知る
・業界のインフルエンサーを知る

業界の全体像を把握することで、業界が世の中でどのような位置付けになっているのか、その中での自社の立ち位置を明確にしていきます。

業界のトレンドを理解し、そのトレンドに紐付け自社・事業について語ることで、メディアや顧客の目に留まること機会が創出されます。また業界のインフルエンサーを巻き込むことも、自社の信頼性を向上させるために活用できる1つの手法です。業界にとってどんなステークホルダーがいるのかを理解しましょう。

競合を知る

・ビジネスモデル(事業戦略・収益構造)を知る
・自社との違いを知る

・キーワードを知る
・スポークスパーソンを知る
・事例を知る

競合調査は言わずもがな、PRでももちろん必要です。自社が一番手なのか、追随する立場なのかでも情報発信の方法は変わります。また、発信する上でどう差別化するかも把握しておく必要があります。

競合がどのようなキーワード・テーマで市場を作ろうとしているのか、またどんなステークホルダーを巻き込み活動しているのかを調査し、そこにあえて挑むのか、別の方向で戦うのかを検討しましょう。

顧客を知る

・顧客の特徴を知る
・顧客の課題を知る

・顧客とのタッチポイントを知る
・顧客のスケジュールを知る

情報発信を積極的におこなったところで、ステークホルダー(利害関係者 / 情報発信の対象者)の興味のない内容や検討が難しいタイミングであれば、興味を持ってもらうことができません。情報発信・関係構築の効果を最大化させるためにも、顧客についての理解を深めましょう。

例えば人事が顧客になる場合、「人事の年間行事(新卒採用、内定式、配属検討)はどうなっているのか?」「予算策定はいつから検討するのか?いつ決定するのか?」「人事の繁忙タイミング」などのスケジュールを把握し、適切なタイミングでの情報発信を進める必要があります。

社会・トレンドについての情報

・社会トレンド(オリンピックなどマスのトレンド)
・政治トレンド
・年間トレンド
・技術トレンド
・社会の課題

自社が解決しようとしてる課題や想いに対して、社会がどのように捉えているのか、世の中の課題感はどこにあるのかなどを常に観察しておく必要があります。社会と合意形成を行うためには、自社との社会との接合点を見つける必要があります。

また、メディアの力を活用し、情報を伝播・拡散させていくには社会トレンドとの紐付けが欠かせません。PR・広報年間計画と合わせて、ニュースになりそうな活動を把握するための「社会の年間計画」を作りましょう。

政府が施行する法改正や”働き方改革”などの注力する取り組み、花見や新生活、長期休暇といった世の中の毎年の定例行事など、世の中が興味を持ちやすいこと(=マスコミが取り上げやすいこと)を理解しておくことも大切です。

ファクトブックの事例

ステークホルダーに向けて最適化されたものですが、複数の企業のファクトブック事例をご紹介します。世の中にオープンになっているものの大半ばIRブックですが参考としてご活用ください。

JAグループ

JA ファクトブック 事例
出典:JAファクトブック

JA全中では、組織や事業の仕組み、さまざまな活動をわかりやすく紹介する『JAファクトブック』を毎年改訂し発表しています
以前はJA職員の研修での活用を目的とした編集でしたが、2019年版以降は「より幅広い方にご活用いただけるよう内容を刷新した」(JA全中広報課)というように、非常にみやすい内容になっています。

radiko「防災ラジコファクトブック」

防災ラジコ ファクトブック 事例
出典:radiko「防災ラジコファクトブック」

防災の自分ごと化を促す第一歩として、身近な存在であるスマートフォンでラジオが聴ける「ラジコ」が防災ツールとして有用であることを認識してもらうことを目的作成したファクトブック。

例えば災害時のラジオの有用性や情報収集のポイントを収録。また、TBSラジオやニッポン放送などラジオ局の取材協力を得て、メディア視点での災害時におけるラジオの役割や強み、今後のラジオの展望に関するインタビューを掲載しています。

日本M&Aセンター

ファクトブック 日本M&Aセンター 事例
出典:日本M&Aセンター 報道・メディアの皆さまへ

日本M&Aセンターでは、報道機関の皆さまにむけての基礎資料として、会社紹介編、データ編2種類のFACTBOOKを用意。企業の存続と発展のためのM&Aの普及のため、メディアの方々の取材依頼に積極的に情報発信を進めています。

大東建託グループ

大東建託 FACTBOOK 事例
出典:大東建託 FACTBOOK

大東建託グループでは、株主・投資家向け資料としてファクトブックを用意。大東建託グループの事業概要・業績、業界ポジション、市場・事業環境、ビジネススキームなどを定量的に説明しています。当社グループの現状や、当社グループを取り巻く外部環境についても定量的に把握できるツールになっています。

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