企業活動を進める上で最も重要な担い手”従業員”。お互いの価値観をすり合わせ、従業員との良好な関係を構築することがエンプロイーリレーションズに求められます。
PRや人事だけでなく、企業内で働く全ての人が関わる内容だけに、最低限どんなものなのかを理解する必要があります。
エンプロイーリレーションズとは?
エンプロイーリレーションズとは、企業にとって重要なステークホルダーである従業員に対して、企業理念・ビジョン、経営方針など、組織の価値観に対する理解の醸成を進めること、またそのための組織土台を作ることです。「社内広報」「インターナルコミュニケーション」など社内向けのコミュニケーション活動も、エンプロイーリレーションズに包括されます。
- 企業理念やビジョン・ミッション、行動指針、価値観のすり合わせを行うこと
- 従業員が安心して働くことができ、かつパフォーマンスを高めることができる土壌を用意すること
- 従業員のエンゲージメント・組織への愛着を高めること
- 自社についての理解を高め、企業の顔として、世の中に情報を発信すること
上記も目的とした活動を推進するため、PR/広報だけでなく、人事・経営者などが強く関わる領域ですが、社内をワンチームとして巻き込み、個々人がそれを自発的に実現できていることが理想的です。
エンプロイーリレーションズが求められる背景
近年多くの企業にとって働く環境が大きく変化し、組織風土や人間関係の前提を様変わりさせています。2020年からのコロナの影響でそのスピードはさらに加速し、働き方の前提についての再考、さらに企業と従業員との関係性についても改めて考え直す機会となっています。
有効求人倍率の上昇に伴い、採用の難易度が上がり、多様化する生活スタイルに合わせ労働が見直されてる中で、従業員と企業との相互理解による思考・価値観の一致、これによる意思決定軸の統一化が求められています。また、ソーシャルメディア、webの一般化により企業情報がより透明化・公開化されている中で、企業の姿勢が可視化されています。従業員を通して企業の実態(人格)が社会に伝わっていく中で、従業員との共通認識によって、イメージのずれを最小限に抑えることが必要とされています。
エンプロイーリレーションズについて学ぶ
組織の理解、社内に対しての発信をテーマに国内外問わず様々な研究、実例を知識として書籍で得ることが可能です。従業員との価値観のすり合わせを行うための参考になる書籍、社内の意思統一を進めるためで活用できる書籍をまとめてみました。
そのほかパブリックリレーションズ関連の書籍についてはこちらでまとめています。参考にしてみてください。
従業員との価値観をすり合わせの”土台”を作る
エンプロイーエクスペリエンス(キノブックス)
世界70カ国の組織に、従業員エンゲージメント、リーダーシップ、組織開発に関するアドバイスを行ってきたトレイシー・メイレットの著書を日本語に翻訳した書籍です。
従業員に対してどう向き合い、どのような活動を進めるべきかについての解説書となる一冊です。
あなたのチームは機能していますか(翔泳社)
結果への無責任、説明責任の回避など、危ない組織の5症状を具体的にあげ、会社を変革する「プロセス」と「ノウハウ」を小説形式で書いた1冊です。
小説の語り口ということもあり非常に読みやすい書籍です。
従業員との価値観をすり合わせるために”伝える”
WHYから始めよ! インスパイア型リーダーはここが違う(日本経済新聞出版)
著者のサイモン・シネックのプレゼンテーションはTEDでも好評だったので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
理念と大義を掲げて従業員を巻き込み、奮起させ感激させる企業はどのように考えているのか、どう伝えるのか。組織の内外の人たちに感銘を与え、やる気を起こさせ、アイディアやビジョンを発展させる手助けができる“インスパイア型リーダー”になる方法について学ぶことができる1冊です。
組織と人を活性化するインナーコミュニケーションと社内報(産業編集センター)
約200社の社内広報支援を実施している著者が、社内報を中心に、豊富なデータに基づく効果的な社内広報を説いた一冊。社内向けの情報発信について理解するための入門書です。