小さなリスクが対応の不誠実さ、拙さにより拡大・炎上してしまう、そんな事例をよく目にします。
危機に陥った企業イメージを決定づけるのは、危機に対しての対応「企業の構え」であることが少なくありません。メディアをはじめとしたステークホルダーに対して、適切なコミュニケーション、関係構築をどう進めていくのか、クライスシスコミュニケーションの役割はますます重要になっています。
危機管理広報とは?
危機管理広報とは、企業経営や事業活動、企業イメージに重大な損失をもたらすとされる事態を危機と捉え、万一危機が発生した場合に損失を最小化するための活動です。レピュテーションマネジメントのマイナスをなくす活動として、危機そのものへの対処「クライシスマネジメント」と、危機が起こるリスクを正確に把握し、事前に対策を講じる「リスクマネジメント」についての活動が挙げられます。
企業を取り巻く経営環境のグローバル化、インターネットをはじめとする技術の進歩、国際的な政治経済の影響などの外的要因、内部告発やコンプライアンスなどの内的要因により、企業の事故・危機のリスクは増加。不祥事の対応によって、売上も株価の低迷による経済的損失だけでなく、長年にわたって築き上げてきた企業・ブランドイメージの失墜など、企業存続にとって大きな影響を及ぼします。
危機管理広報についての活動
リスクマネジメント
企業として存続・発展していく上で障壁となるリスクを正確に把握し、それらのリスクの対策を講じることをリスクマネジメントといいます。危機の予防や、平時における危機に関連する情報の理解を進める活動です。
企業を取り巻く危機は、株価の下落や収益の低下など経営関連のものから、従業員の離反・コンプライアンス違反といった人材関連のもの、自然災害や社会情勢の急変など多岐に渡ります。この危機に対したの準備・対策を怠ったため、危機発生時に適切な対策が取れず、社会的信用を失い、企業の存続が脅かされる状況になることを避けなければなりません。
例えば「危機広報ガイドライン」の策定や、リスク発生時に早期対応が取れるように専門家との顧問契約締結、全社的なリスクの洗い出しなどを行う必要があります。
クライシスマネジメント
一般的に緊急事態が発生した場合の対応についての危機管理をクライシスマネジメントと言います。危機発生後にメディアやステークホルダーに対しての情報提供・説明を行う活動(クライシスコミュニケーション)は、PRや広報の大きな役割の1つです。
近年多くの企業で不祥事が発生し、その対応の拙さ・不誠実さからメディアの格好のまとになり、批判的な報道が連日繰り返されることも少なくありません。不祥事後に企業がどう対応したのか、素早く正確な情報を開示したのか、その姿勢は適切なのかを生活者は重要だと考えています。小さなリスクが対応により拡大してしまうケースも見られれ、クライスシスコミュニケーションの役割はますます重要になっています。
記者会見時の企業トップの対応のまずさから炎上をすることを予防するためメディアトレーニングや、不祥事が発生した際の対策本部の早期設置、全容の把握を迅速に行い適切な対応方針の策定、メディア・顧客・株主をはじめとしたステークホルダーへの事実の共有が求められます。
より詳しく知りたい方は
危機管理広報・クライシスマネジメントについての書籍をご紹介します。ぜひこちらも参考にしてみてください。そのほかパブリックリレーションズ関連の書籍についてはこちらでまとめています。
書籍名 | 商品説明 | 発行元 | 著者 | 価格 |
危機管理&メディア対応 新・ハンドブック | マスメディア×ソーシャルメディアの力がますます強まるこの時代に必要な、最新の危機管理広報とメディアトレーニングについてまとめています。 | 宣伝会議 | 山口明雄 | 3,240 円 |
世界一わかりやすい リスクマネジメント集中講座 | 世界一面白く、世界一わかりやすく、世界一短時間で身につく。個人・家庭・組織、すべてに活用できるリスクマネジメントバイブル! – | オーム社 | 勝俣良介 | 2,420 円 |
その「記者会見」間違ってます!―「危機管理広報」の実際 | 不祥事発覚!まず何をすべきか?無意識の一言、一瞬の表情が“命取り”になる。平時の対応から謝罪の仕方まで、現場を知る弁護士だから語れる超実践ノウハウ | 日本経済新聞出版 | 中島茂 | 2,680 円 |
企業不祥事の緊急事態対応 「超」実践ハンドブック | 創業20年、300件以上の企業不祥事対応を支援してきた業界のリーディングカンパニーが、その実務ノウハウを惜しみなく披露。49点の確認事項にまとめた。 | レクシスネクシス・ジャパン | エス・ピー・ネットワーク | 965 円 |
会社を守るクライシスコミュニケーション 企業広報ブック | 危機発生その時?損失を最小限にとどめるには?会社を危機から守るために必要な心構えと実践法を数々の失敗例・成功例から学ぶ手引き。 | 産業編集センター | 田中 正博 | 1,540 円 |