企業が前年の事業実績・財務実績についての情報をレポートするアニュアルレポート(年次報告書)。株主や投資家向けに、投資判断に必要な業績・今後の見通しなどを伝える活動、自社の適切な情報を伝えていくインベスターリレーションズ(IR)の重要な活動の1つです。
今回はアニュアルレポートについて実例を交えて紹介していきます。
アニュアルレポートとは?
アニュアルレポートとは、前年の事業実績・財務実績についての情報をレポートする年次報告書のこと。経営の3要素「ヒト、モノ、カネ」の”金”に関わる重要な活動です。投資家にとって、投資するに足る会社であるかを判断するうえで欠かせません。
有価証券報告書や決算短信など定量を中心とした情報では読み取ることができない、企業理念やそれに基づいた事業戦略、社会的責任についての活動、またその実現を進める企業風土について確認することができます。
元々は海外の投資家を集めるための手段として制作されていたため、英語版のものが多かったのですが、昨今では国内向けの日本語版のアニュアルレポートを発行している企業も増加しています。
有価証券報告書とは何が違うの?
企業が投資家に対して、自社の考えや活動を定量・定性で理解してもらい、投資判断を後押しするアニュアルレポートとは異なり、有価証券報告書は株式を公開している上場企業に法律上提出が義務づけられています。
企業概況・事業状況・財務諸表などの情報が開示され、これは一般でもEDINET(金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム)を使って閲覧できます。
アニュアルレポートに集約する情報
アニュアルレポートは投資家に適切な情報を提供し、投資家にとって投資判断しやすい状況を作るための作成されます。有価証券報告書や財務諸表など定量的な情報を補完する情報が集約されています。
- 企業理念
- 理念を実現するための展望や方針
- 事業戦略(いつまでにどのような状態を目指すのか、喫緊で何をするのか)
- 社会的責任(SDGs・ESG)活動
- 従業員投資の考え方
従来は売上や利益など定量的な情報を中心に投資判断が行われてきましたが、海外投資家の増加などによって、SDGs・ESGなど社会にどう寄与する企業なのかを発信する戦略的CSRの観点が求められるようになっており、過去の実績のほか、今後の事業戦略、社会への取り組み(SDGs、CSR)、社長のメッセージや企業理念などが盛り込まれています。毎年情報を更新するため、ファクトブックをリニューアルするきっかけにもなります。
アニュアルレポートの事例
アニュアルレポートは印刷物だけでなく、各社のwebサイト上に掲載されており、誰でも気軽に確認することが可能です。複数の企業の暗喩αあるレポートをご紹介します。参考にしてみてください。
ダイキン工業株式会社
ダイキン工業株式会社のアニュアルレポート。
IRに関連する資料をまとめた「IR資料室」には”ダイキンReview(株主通信)””サスティナビリティレポート”など関連資料が掲載されています。
Sansan株式会社
Sansan株式会社の統合報告書。
統合報告書のほかに、財務・業績情報やESG情報など、サイト上で様々なIR情報を確認することができます。