代理店・セールスパートナーとの連携によって、自社商品・サービスの販路拡大を急ピッチで進めることが可能です。しかし、代理店ビジネスは1つの事業を進めるようなものです。プログラムの立案から、代理店の獲得活動、そして代理店が活躍してくれる土台を作る活動まで、対応が必要な仕組みは多岐にわたります。「ちょっとやってみよう」で効果的な施策になるかというと、そうではありません。
代理店営業は代理店ビジネスで欠かせない要素です。代理店とどうか変わっていくか、どう支援していくかでその成果は大きく変わってきます。
本記事では、代理店営業として何をすれば良いのか、ポイントを交えてご紹介していきます。
代理店とは?
代理店とは、メーカーと契約することで、メーカーの代わりに商品やサービスを顧客に届けてくれる存在です。
メーカーは、自社の営業マンによる直接販売ではなく、代理店の営業リソースを活用することで、自社負担が少なく済み、拠点がない地域においても顧客獲得を行うことが可能です。
また、業界・業種、地域、企業規模など自社の顧客とは異なった領域の顧客を抱える代理店も多く、自社が接点を持っていない・持ちづらかった領域への販路拡大が可能です。また、地方顧客の拡大を進める場合、支店開設を開設して、現地で求人を募って、マーケティング投資を進めてと、それぞれに投資を必要としますが、代理店と連携を進めることで、そのリスクが軽減されることも代理店ビジネスのメリットの1つです。
代理店ビジネスのメリットや特徴については代理店ビジネス戦略の策定方法|マーケティングの教科書を参考にしてみてください。
代理店営業とは?
では、代理店営業とは、どのような役割を担うのでしょうか?
代理店営業は新規の代理店を開拓する役割や、契約後の代理店とともに顧客を開拓していく役割、営業マンの1つの業種など、語られる場所場所でさまざまな解釈を持っています。
本記事では、契約後の代理店とともに顧客を開拓していく機能としてお話ししていきます。代理店開拓と機能を分けている企業では、この機能をパートナーサクセスや代理店サクセスなどと呼んでいることもあります。
代理店とともに顧客を集めるマーケティングの思考や、同行をし顧客を獲得する営業スキル、代理店が自発的に活動できる土壌を作るマネジメントスキル、受注確度を向上させるための営業企画機能など、求められる領域は広く、昨今この領域を担える人材の需要が上がってきています。
代理店戦略の全体像・策定ステップ
代理店営業・サクセス活動を策定する上で、まずは全体像を把握する必要があります。
まずは事業戦略上代理店活動が本当に必要なのかどうかの確認を確認、事業計画に基づき、どのくらいの代理店を見込むのか、どれくらいの報酬設計を考えて問題ないのかを明確にしていきます。
その上で、代理店が販売したくなるプログラムを策定していきます。代理店活動を進める際に2つの営業機会があります。1度目は代理店との契約締結を結ぶとき、もう1つは代理店が顧客を獲得するとき。代理店プログラムはこの2度の営業機会を意識して策定する必要があります。代理店募集を進める上でも、代理店にとって事業として見込める報酬設計なのか、自社との親和性はどうか?売りやすい商品なのか?を作り込んでいきます。セールスフォース・ドットコム_パートナープログラムやサイボウズオフィシャルパートナー などが参考になりそうです。
プログラムの策定が済んだら、代理店募集・獲得の実施です。代理店ビジネスプログラムを1つのサービスとして捉え、どのような顧客を開拓していくのか、そのためにはどのような代理店と連携を進めるべきなのかを具体にし、それぞれのターゲットにあったメッセージ、接点でのアプローチを進めていきます。代理店募集について詳細が知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
代理店が集まってくれば、代理店営業・育成活動に進みます。モチベーションのサポート、活動のサポート、成長のサポートを行うことで、代理店が自ら顧客を獲得してくれる素地を作っていきます。
代理店営業・サクセスのコツ
代理店営業・サクセス活動を成功させるためには、どのような報酬設計を組むかだけでなく、3つのサポートが重要となります。
- モチベーションのサポート
- 報酬設計(前述)
- 成功体験(顧客獲得)の支援
- 活動のサポート
- 提供ツールの用意
- 同行営業など顧客に合わせた柔軟な対応
- 負荷のかからない運用体制
- 成長のサポート
- 研修プログラム
- 適切なフィードバック
代理店が活動したくなる状況を作ってあげる『モチベーションのサポート』。活動を難易度を下げ、一歩目を踏み出しやすくしてあげる『活動のサポート』。成功体験の継続性を高める『成長のサポート』この3つがポイントです。
この3つのポイントを代理店とのどの接点・タイミングで提供していくかが代理店営業の要です。
代理店営業・サクセス活動のステップ
代理店契約後の活動ステップは大きく3つの領域に分かれます。
その後の自走を左右する「立ち上げ」期と、継続的な活動を後押しする「成長サポート」、「活動サポート」です。成長サポートと活動サポートをあえて分けたのは理由があります。「活動サポート」は代理店の”不”を取り除く活動に特化、「成長サポート」は代理店にプラスアルファを提供していく活動と、それぞれ目的が異なるため、別の活動として考える方が良いでしょう。
代理店営業のステップその1:立ち上げ
代理店が活動の継続是非を判断するのは最初の1〜2ヶ月です。この期間でどこまで事業としてその後の伸びを期待できるかで、活動の優先順位が前後してしまいます。そのため、この立上げ機は非常に重要な期間です。
いかに初期インプットの質とスピードをあげ、最速で1件目の契約(成功体験)を挙げてもらうか、これを考えることに注力しましょう。
<活動イメージ> ・オリエンテーションの開催 ・営業ロールプレイングの実施 ・営業向け勉強会の開催 ・簡易説明ツールの提供 ・営業同行 ・キャンペーンの支援 ・顧客紹介
代理店営業のステップその2:成長サポート(代理店サクセス)
成長サポートは研修プログラムの実施や、定例ミーティングでの適切なフィードバックなど、代理店が継続して成果を上げ続けるためのサポートを担う役割です。立ち上げ期での成功体験を再現性を持ち作り続けるために、さまざまなサポートを実施します。
<活動イメージ> ・コンテンツ支援(営業ツール、顧客向け勉強会の開催など) ・販促定例会の開催 ・営業向け勉強会の開催 ・定例ミーティングの開催 ・他代理店の成功事例共有
代理店営業のステップその3:サポート活動
サポート活動は代理店の営業面での支援を進めていく活動を行います。案件ごとの攻め手の相談や、不明点・顧客からの質問についての回答サポート、時には営業同行など営業面に特化した役割を担います。
代理店の活動の”不”、課題になる部分を潰してあげる役割です。
<活動イメージ> ・案件相談対応 ・営業同行 ・案件クロージング支援 ・見積もり対応
代理店戦略はあくまで手段の1つ。
代理店営業・サクセス活動の全体像をご紹介してきましたがいかがでしたか?
代理店施策は1つの事業を進めるようなものです。プログラムの立案から、代理店の獲得活動、そして代理店が活躍してくれる土台を作る活動まで、対応が必要な項目は多岐にわたります。
ぜひ、御社にとって本当に代理店施策が最も優先順位が高い活動になるのかどうか、これを機に検討してもらえると幸いです。