利益が出る事業基盤の構築・人材強化基盤の構築・企業価値向上、ブランディングの効果は企業成長に大きなメリットをもたらしてくれます。
なんとなくブランディングが必要だなと考えているけど、具体的に考えてなかったり、「ブランディングは大企業ものでしょ?」と他人事化するのはもったいないです。むしろ、中小企業こそブランディングによって自社の強みを再構築し、他者との差別化を図ることが重要です。
そもそもなんとなくで使っているブランディングとはどんなことなのか?サイトやホームページで実現できるのか?どうすれば効果的に進めていけるのかをまとめました。
ブランディングとは?
ブランドとは「識別記号と知覚価値が結びついたもの」です。たとえ圧倒的に優れた性能の商品を作ったとしても、消費者がその存在すら知らなかったり、「魅力的な商品だ」「性能が優れてる」と認識してもらえない限りは選ばれません。
<識別記号> 文字、音声、形、色、においなど五感に訴えるもの ロゴや名称、製品、店舗など、ブランドを識別するための手がかりになるもの <知覚価値> 消費者の頭の中にある価値認識 どういう商品・カテゴリーなのか、どういう人格イメージなのか、購入・体験することでどんな便益があるのかといったイメージ
マクドナルドであれば、識別記号としてロゴや特徴のある店舗デザイン、食欲をそそられる匂いなどが当てはまりますし、その識別記号によって、知覚価値が誘発されるわけです。今回取り上げるサイトやホームページは「識別記号」にあたります。
ブランディングのメリット
日本の企業の99.7%、数にして約421万社は中小企業です(中小企業庁より)。
販促費や人員に制限がある中で、同じ中小企業だけでなく大手企業と戦っていく必要があります。ブランディングは魔法の杖ではありませんので、全てを解決することはできませんが、ブランディングによって強いブランドを持つことができれば、莫大な販促費の投資や、値引きによる交渉をしなくても、顧客に選ばれ、利益の出る事業成長の基盤を作ることができるようになります。
強いブランドを持つメリットは大きく3つに分けることができます。1つは事業成長にしする「利益が出る事業基盤の構築」、そして組織面への効果「人材強化基盤の構築」、最後に企業価値そのものの向上につながる効果です。
(1)利益が出る事業基盤の構築
- 競合に埋もれずに選ばれる
- 有益な取引条件を提示できる
- リピート率向上
(2)人材強化基盤の構築
- 採用強化、優秀な社員の採用
- 従業員の満足度、定着率向上
(3)企業価値向上
- 株価向上
サイト・ホームページでのブランディングとは?
「”対象にこう思われたら自社の商品やサービスを選んでくれるだろう”という価値を見つけ、そう感じてもらえるように(その印象が残るように)、全ての顧客体験に一貫性を持たせること」がブランディング戦略の軸となります。
サイト・ホームページはその内の1つの接点でしかありませんが、サイトは主体的に企業をサービスを知りたいと考え活動する消費者の受け皿です。
コーポレートサイトであれば、企業姿勢を伝えることで、認知度の向上や、企業活動に関わるIR、採用について連動した情報を発信します。サービス・商品サイトであれば、便益はもちろん、その背景・想いを伝えることで、ロイヤルティの向上を進めていきます。
サイト・ホームページでブランディングするメリット・役割
ブランディング戦略をもとに共通した顧客体験を進めていく中で、サイト・ホームページならではメリット・役割があります。
(1)認知度の向上
「認知」してもらえなければ、企業やサービスを好きになってもらうことはできません。
何を伝えるかと合わせて、認知を獲得する施策を盛り込む必要があります。サイトはその受け皿になります。
サイトを作って終わりではなく、SEOやSNSによる情報発信などを組み合わせることで、企業・サービスに興味を持つ消費者を巻き込むことを目指します。
(2)理解を促す
サイトには知ってもらって終わり、ではなく、「理解」を深めてもらう役割があります。
自社でサイト内の体験をじっくりと練り込むことができるオウンドメディアならではの役割です。
店舗や広告などでビジュアルや伝えたい便益の一部を伝えることができますが、その裏側については情報を詰め込むことができません。サービス単体ではなく、企業としての考えや姿勢にどう紐づいた活動なのかを伝えること=理解してもらうことがサイトの重要な役割となります。
(3)ロイヤリティの獲得
認知→理解の結果として、「ロイヤリティの獲得」につながります。ロイヤリティは愛着などの言葉で訳されますが、理解を進めた結果としてファンの獲得を進めることを狙います。
ブランドサイトをきっかけにファンになってもらうことで、単発の関係構築ではなく、信頼関係を構築し、選ばれるブランドとして認識してもらうことを期待できます。
ブランディングのプロセス
サイト・ホームページでブランディングを進めるにしても、どのように消費者がブランドを理解していくのか、その価値が形成されるプロセスについて把握しておく必要があります。
ブランドの価値が形成される順序
ブランドはどうすれば消費者の頭の中に残るのでしょうか?「テレビCMで見かければ」「一度商品を使ってみたら」「友人から噂を聞いて」どれも正解ですが、どれか1つでブランド価値が形成されるわけではありません。私たちがそのブランドに接する全ての印象(体験)の蓄積がそのブランドに対しての識別記号・知覚価値の形成に関わってくるのです。
そしてこれらの消費者体験は企業がコントロールできるものだけではなく、直接コントロールできないものも存在します。
(1)企業がコントロールできるもの
- 商品・サービス・体験
- 広告・キャンペーン
- 接客・営業
- ウェブサイト
(2)企業がコントロールできないもの
- クチコミ・評価
- マスコミの報道
- 自社以外の販売網
個々の体験を魅力に感じていたとしても、それぞれの体験によって一貫性がないことでブランドの記憶はねじ曲がったり、そもそも記憶されないことが起きてしまいます。だからこそブランド戦略を考えるうえで、社内外に一貫してその価値を理解してもらえる状況を作る必要があります。
ブランディング戦略を考える順序
上述のように「”対象にこう思われたら自社の商品やサービスを選んでくれるだろう”という価値を見つけ、そう感じてもらえるように(その印象が残るように)、全ての顧客体験に一貫性を持たせること」がブランディング戦略の軸となります。
コンセプトを決めてその浸透をなおざりにするのも、「Webサイトをリニューアルする」といった施策だけ考えるのも本質的ではありません。全体像を理解して、優先順位を立てて実施していく必要があります。大きくは下記の6つのステップに分けて進行していきます。
1、現状分析・整理
- ブランディングの目的整理
- 社内課題の整理
2、戦略・方向性の決定(大枠)
- 上記を元にした優先解決課題の決定
3、ターゲット(優先ステークホルダー)の決定
- 上記課題を解決するために優先してアプローチすべき対象の決定
4、顧客理解・分析、社内資産(強み)の整理
- ターゲット理解・定量分析(公のデータ、情報から)
- ターゲット理解・定性分析:(インタビューから)
- ターゲットの体験マップを作成
- 社内の強み、資産整理
5、ブランド戦略の立案
- 知覚価値の決定
- 知覚価値を誘引する識別記号の検討
6、情報発信方法の検討・実施
- コミュニケーション・マーケティング施策検討
- 実施
中小企業こそブランディングを
中小企業は売り上げや市場シェアが大企業に比べ小さいため、柔軟に対応することができます。また、ブランディングを目的としてなんとなくで進めてしまっている企業が多いこそ、本質的なブランディングを理解し、進めることできれば差別化を図ることで”事業””組織””企業価値”3つの側面で恩恵を受けることができます。
ぜひ検討してみてください。