PR・広報担当者にとって頭を抱える課題の1つ「目標設定・効果測定」。
認知獲得、理解の促進、意識・行動の変容、ブランディングなど、PR活動の効果は様々な点ところに影響を及ぼすため、明確な目標・KPIをおきづらいものです。企業・サービスのフェーズやタイミングによって注力すべきポイントが異なるため、単一の評価指標ではなく、複数の指標を追いかけていく必要があります。
今回はPR・広報活動の評価・効果測定について解説していきます。
PR目標設定・効果測定の方向性
どこにPR活動の目標を設定するかで見るべき評価指標が異なりますが、活動の良し悪しを判断するために活動の影響・貢献度を測定するための「アウトカム(ステークホルダーへの影響)評価」、活動による結果「アウトプット評価」、活動の妥当性を図るための「プロセス評価」の3段階に分けて考えると良いでしょう。
この3段階に分けて考えることで、どの指標が課題で目的とした成果につながらなかったのか、何を改善することでどの数字が変化するかといった、次の活動への仮説を立てやすくなります。
スタートアップなどPR・広報部門立ち上げ初期にアウトカム評価まで設定するべきかどうかは、専任か兼務か、経験者か未経験かによって意見が分かれると思います。立ち上げ3〜6ヶ月はアウトプット指標の必達を目指し、プロセス指標と合わせて結果を見つつ、アウトプット指標の恒常的な達成が見え始めてからアウトカム指標を設定するなど、柔軟に対応していくと良いでしょう。
アウトカム評価:ステークホルダーへの影響を評価する
アウトカム評価は、PR活動がステークホルダーに与えた影響を評価するためのもの。PRとしてどのような成果を達成するべきか、全社計画を分解し立てる目標です。
PR・広報活動の量や質で変化する指標ですので、どれだけのメディアで紹介されたか、そのボリュームや内容はどのようなものかによって成果が異なります。影響を与える範囲と深度は反比例の関係になることが多いため、メディアでの紹介が全てではなく、イベントや営業での個別の折衝内容など、全社を巻き込んで共有のメッセージを発信するための諸調整も重要になってきます。
- 認知度
- PV / UU
- 指名検索
- ソーシャルリスニング
- 問い合わせ数
- 社内サーベイの結果(社内広報)
- 応募者数(採用広報) など
アウトカム評価として取り入れられやすいのは上記のような指標です。PR活動のゴールをどのステークホルダーのどのような状態にするかで異なってきますので、PRとして常に追い続ける指標を持ちつつ、全社戦略や事業戦略に合わせて年間や四半期で目標を設定・評価すると良いでしょう。
アウトプット評価:活動の結果を評価する
アウトプット評価では、PR・広報活動がどのような結果につながったのかを確認していきます。活動の結果によってステークホルダーへの影響が変わってくるため、注視するべき指標です。
- 露出数
- 露出評価
- 広告換算値
- SNSの反応数
- イベント参加者数・満足度
- 有識者を巻き込んだ情報発信数
- アライアンス(企業・自治体)数 など
アウトプット評価では上記のように結果を指標・KPIにします。設定したアウトカムの目標に対して、どのような活動結果であれば達成できるのか仮説を立てます。例えば「認知度を5%あげるために、5分以上のメディア露出を毎月獲得する」や、「コアターゲットの業界内認知を獲得するために、インフルエンサーとなる有識者と共同のイベントを3回実施し、計20社の上場企業役員を巻き込む」などの設定となります。
プロセス評価:活動の量と質を評価する
最後がプロセス評価です。プロセス評価ではPR・広報活動の量と、どのような内容で進めたのか(質)を評価します。メディアの取材やイベントの引き合いをいただく機会もありますが、ここでは主体的に活動した過程を評価します。
全く活動しなければメディアで紹介されることはありませんし、プレスリリースを10件配信しても結果に繋がらなければ効果的な活動にはなりません。PRとして達成すべき目標(アウトカム評価)を実現するための根幹をプロセス評価で確認していきます。
- 定量
- メディアとの折衝数
- プレスリリース配信数
- イベント実施数
- SNS投稿数
- 新規のステークホルダー巻き込み数(インフルエンサー獲得)
- 巻き込めた社内の部署数 など
- 定性・状態
- メディアとの関係性評価(メディアヒアリング)
- インフルエンサーとの関係性評価 など
プロセス評価は定量・定性の2軸で確認していくと良いでしょう。活動開始直後から適切な指標を立てることは難しいので、活動を進めれる上でアウトプットの目標を達成するためにどのくらいの活動量(質)が必要なのかを調整してみてください。